2015年 05月 26日
アオバズクの木の下で。
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おいさん 『兄やん、フクロウさんの写真撮ってるんか?』(ニイやんって、50前なんやけど...)
僕 『ええ、まあ。オイさんは?』
お 『ワシか?見に来たんやないか。15年ぐらい前から毎年見とるんや。』
僕 『そら、オイさんも熱心やな。近所?』
お 『ほれ、そこや、あの木の向こうの家。ほれにしても、毎年毎年、帰って来てくれるんはアリガタイことやな。』
僕 『そやなぁ。』
お 『今どき、長男でも出てったきり帰って来ぅへん時代にな。毎年やで、毎年。』
僕 『オイさんとこの息子さんも出てっとるの?』
お 『おう、埼玉で家建ててもたがな。孫も東京の大学やでもう帰って来ぅへんな。』
僕 『うちも一緒や。大学生やけど、もう帰らへんって。』
お 『そらな、働くとこないんやからしゃあないんやけどな。県庁と銀行さんの建もんばっかり立派でな。息子は公務員も銀行も嫌やで帰らんってな。』
僕 『アハハハ...うちの息子もどっちも似合わんし、エエんやけど...。』
お 『ワシの同級会でもこっちにおるんは都会で役に立たんだ連中やしな。』
僕 『そんなん言わんといて。僕もそうなんやから。まるでカスみたいやん、僕も(笑)』
お 『すまん、すまん。ワシもそうやて言うとるんやで、エエやろ?』
僕 『確かに僕はその手の都会で通用せんタイプやけど、地元で立派に活躍してるヤツも多いで。』
お 『そいでも、成功すると出て行くんや。三井さんも岡田屋さんもそやろ?』
僕 『"志"ある息子坊主はつまらんかもしれんな。どこで働いても、どこに住んでも一緒やなって気付くんは、50前になってからやし。』
僕 『兄やんぐらいの歳になるとな、それが判るんやろけどな、一旦向こうに住んだら、こんなな〜んもないトコには住めんって言うんさな。』
僕 『ほんでも、こやってアオバズク眺めながらさ、知らんオイさんと世間話しとるのも悪ぅないけどな。』
お 『まぁな。そやでフクロウさんも毎年こうやって来てくれるんやろ。ここは居心地が悪ぅないんやろ。』
公園の石垣に座って、時折ビュンと吹く春風に髪をそよがせ...ることはない息子を都会に出したツルピカ頭が2人。聞けば、僕の高校の大先輩だという、たぶん80代のお爺さんとアオちゃんを見上げながら世間話。僕自身は息子にも娘にも帰って来てほしいとは思わないけれど、“オイさん”ぐらいの歳になると、やっぱり寂しいのかなぁって思ったりして...。
"オイさん"の言う通り、高校を卒業するとほとんどの若者が出て行ってしまう県庁所在地だけど、この町に残った僕にとっては、毎年決まってここを目指して帰って来るアオバズクが愛おしく、ちょっぴり嬉しい。
by papapaddleraki
| 2015-05-26 17:00
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