2010年 05月 12日
"Moon Sun Star"Bird(某公園)
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僕の休日は週に一度、つまり1/7。15%の確率に日照、気温、風などの気象条件を重ね、さらに僕らの体調や気分を加えると、計画した野遊びが実行に移される確率は極めて低いのだ。雨上がりの今日は今年の僕らのマイブームであるカヌーでのダウンリバーの計画。雨上がりでダム放水がなくて水位は50cmアップ...行くしかない(笑)。
ところが、朝、目覚めると西寄りの強風と肌寒い気温にあえなくカヌーは断念。そうなると第二希望である“あの鳥”を見に行こう!ってことで、いつものように洗濯を済ませ子供たちを学校に送り出した後、ヤモちゃんに機材を積み込んで9時前に出発だ。
今日の行先は先週末、僕らにとって憧れの鳥ベスト3に入る珍鳥であるサンコウチョウの目撃情報がある某所。ここは営巣をして子育てをする最終目的地ではなく、渡りの中継地なので滞在は長くて数日。これまでの実績から言えば2日~3日しか居ない場所だ。最初の目撃がGW最終日ってことで土日に休めない僕らは、今年もサンコウチョウに会えなかった!と残念に思っていたんだけど、何と昨日の段階でまだ居てくれるとのこと!
『“昨日まで居たんやけどねぇ。”なんて慰められることになるかもしれないけど、行ってみる?』
『アハハハ...“バードウォッチングの法則”通りにならないといいけど(苦笑)』
自然相手の遊びに100%もないけど0%もないってのはアウトドアズマンの大前提(爆笑)
ヤモちゃんの車内でともちゃんが携帯を使っていつも楽しんでいるMさんのブログをチェック。
『あっ、もう今日のブログアップされてる!ああっ、今日も○○に居るって!』
素晴らしい情報を有難うございます>Mさん
ブログによれば朝6時に目撃された後はしばらく姿が見えないとのことだけど、サンコウチョウに会える可能性がゼロではないってことが分かって勇気百倍、はやる気持ちを抑えつつ慎重な運転で探鳥地を目指す。
10:30、駐車場に到着。広い公園を半周してMさんのブログにある目撃情報の場所へ。おお、いるいる!十数人のバードウォッチャーの皆様(笑)。みんなてんでバラバラの方向を向いていらっしゃるので、今は出ていないみたい。とりあえず皆様に合流して挨拶しながら訊ねてみると、やはり朝6時以降姿が見えないらしい。
それにしてもこの和気藹々とした雰囲気はどうだ!年齢層は僕らよりかなり高めのバードウォッチャーさんたちばかりだけど、みんな野鳥を目で追いながらもニコニコと実に楽しそうに歓談中。特殊な世界ゆえ、色々と特異なしきたりや排他的な雰囲気があってもおかしくないのに、ここの人たちは総じてみんな大らかで幸せオーラが漂ってる。鳥見じゃない観光客が『何やってるんですか?』なんて話し掛けてくると、みんなで寄ってたかって説明してるし、多くの中国人観光客の英語の質問にも、カメラの液晶モニターで撮影した写真を見せてあげて『スリーライトバードね。いい、ロングテールでビューティフルなムーン、サン、スターバード。月日星、ホイホイホイってシンギング、わかる?』なんてやってる(たぶんワカラン...笑)。いいなぁ、こういう大人になりたいなぁ...素直にそう思う。
『おっ、出た!』1人の小さな叫びに全員のレンズが一斉に一点に向けられる。何と、運の良いことに現地に到着して5分でお目当てのサンコウチョウが飛来する。こうなると言葉は要らない...みんなのレンズの向く方向を辿ると、そこにサンコウチョウ。体長の3倍ぐらいの長い尾羽をもつ。羽色は黒紫色の顔、白いお腹、背中は若干赤みの強い紫色、そして愛らしいスカイブルーのアイリングと嘴。何といっても特徴的なのは身体の3~4倍もの長さがある尾羽!すげぇ~!ホンモノだぁ!図鑑の写真を見て憧れ続けたサンコウチョウがすぐそばに居る!
一般にこうしてお目当ての鳥が現れると、周辺の空気が一変して殺気立ったピリピリした雰囲気になるものだけど、ここのバードウォッチャーさんたちはほのぼの。
『う~ん、空抜け(*背景が空という意味)やぁ、補正しても真っ黒...焼き鳥にしか写らんわ。』
『腐っても鯛、焼き鳥でもサンコウチョウやで。』
クスクス、ワハハハ...皆さん、あくまでも愉快な仲間たち(笑)
想像してたよりも大きく(正確には長く)て、ファインダーには捉えやすい鳥だけど、とにかくやたらに動きが速いし、青葉が茂った枝の中を飛び回るので撮影は困難を極める。『枝かぶりやぁ。』『あの葉っぱ、誰か退けといてくれんかな。』撮影の難しさを口々に呟きながらも、みんなニコニコとサンコウチョウを見守る。最初の15分ほどはあちこちの木を飛び移っていたサンコウチョウも、しばらくすると一本の木の中に居場所を決めて上へ行ったり下へ降りたり...サンコウチョウが動くたびに各ゾーンから歓声と落胆の声が聞こえ...正直なところサンコウチョウよりおっちゃんたちの呟きを聞いてるほうが面白かったりして(笑)。
そんな感じで1時間半ほど、サンコウチョウの動きに一喜一憂して過ごし、ともちゃんのハングリーコールが始まったところでサンコウチョウの撮影はおしまい。周りの方々に挨拶して探鳥地を離れ、ひと気のないベンチでめはり&柿の葉寿司をつまんでランチ。以前はオオルリやキビタキを狙う大砲レンズがズラリと並んでいた場所も今日は人影もまばら。爽やかな...ちょっと寒いぐらいの春風に揺れる新緑を楽しみながら、紀州と大和の名産寿司を戴いていると、さっきまでの喧騒がウソみたいなのだ。
もう一度サンコウチョウを見に行くという選択肢もあったけど、何でも腹八分が肝心ってことで、そのままこの公園を後にして、上野市森林公園に立ち寄って、先日ムササビウォッチングをご一緒させてもらったCORONAさんの写真展「南アフリカ砂漠植物紀行」を拝見する。アフリカの乾燥した大地に力強く根を張るこの世のものとは思えない奇怪な植物たち...素晴らしい写真の数々を堪能した後は、ふたりで森林公園を散策。
残念ながら雨も落ちてくる肌寒い天候だったので、あまりのんびりは出来ず、“小さな猛禽”モズとエナガ、カワセミなどにしか出会えなかったけれど、条件さえ良ければ多くの野鳥が舞い飛ぶ素晴らしい場所なんだろうな、またランチボックスとティポットを持参でピクニックに来たいなぁって思える良い感じの森だった。
そんなわけで、カヌーでダウンリバー転じてサンコウチョウ探鳥会な一日。こういう幸せな予定変更もたまには良いなぁって感じた一日だった。
Girl(*'o'*)&landscape:Canon Powershot D10(Auto mode)
Birds:OLYMPUS E-3+SIGMA APO 50-500mm F4-6.3+1.4x Teleconverter EC-14(=1416mm)/OLYMPUS E-520+ZUIKO-D 70-300mmF4.0-5.6(=140-600mm)
by papapaddleraki
| 2010-05-12 19:03
| -バードウォッチング