photo:OLYMPUS OM-D E-M10 Limited Edition
カメラを構えて星空を撮影する...こんなことを書くと、またコアな天体写真ファンの方々からお叱りを受けるかもしれないけれど、デジタルカメラの時代になってからの天体写真は限りなくレタッチソフトを使った"お絵描き"に近づいている気がする。
巨大な天体望遠鏡を覗いても、まるで現代アートのようなカラフルな星雲が見えるわけではなく(十数万円の望遠鏡でも土星の輪っかが何とか見える...程度)、あくまでもPCを使った“現像”の腕次第。また、どれだけ精細で美しい写真を撮るかは、どれだけ大きい=高価な機材を揃えるかが大きなファクターを占めていて、僕みたいな写真“が”趣味ではなく、あくまでも写真“も”趣味な「なんちゃって」カメラマンにとって天体写真の世界はあまりにも敷居が高過ぎるのだ。
そんな中、僕が興味を覚えているのが「星景写真」のジャンル。天体だけではなく、天体と地上の景色のコラボレーション...ロケハンや時間帯のチョイスが写真の出来を左右するこのジャンルならば、僕のプアな機材でもチャレンジ出来るし、"真っ青な空の下、清冽な川面に浮かぶちっぽけな赤いカヌー"とか、"雪山と青空とスノーシューハイカー"的な野遊び写真っぽい愉しみも味わえるような気がする。「どの機材を使ったか?」よりも「誰が、いつ、どこに足を運んだか?手間を掛けたか?」がそのまま結果に結びつく写真を撮りたい...そんな僕に星景写真は合ってるように思う。
ただ、星景写真と聞いて思い浮かべる典型的な光景...美しく輝く街の夜景、そして漆黒の稜線に縁取られた空を星々が夜空に円を描くように移動する星の光跡...ってな写真は、実際に撮影を行うとわかるんだけど、簡単に思えるのに撮影場所の空の明るさや月の満ち欠けなどかなり良い条件が揃わないと上手く撮影できないものだったりする。
今回もOLYMPUS OM-D E-M5と対角180°のフィッシュアイレンズを使ってバルブ撮影(シャッターを開けっ放しにする長時間露光撮影)で、我が家のガレージと星の光跡を写真に収めてみたんだけど、撮影のあとすぐに画像を確認することが出来るデジタルカメラは、現像するまで写りが判らない昔の銀塩カメラに比べて有利だし、僕のカメラ・OLYMPUS OM-D E-M5は一眼初級者向けでコンデジ並みに低価格なちっぽけなカメラだけど、LiveBulbと呼ばれるバルブ撮影をしながら仕上がりを液晶モニタでライブで確認しながら露光を止められる機能が付いているおかげで、ほとんど失敗なく撮影することが出来る。
でも...。
田舎とは言え、住宅地の真ん中にある我が家は意外と明るく、肉眼では澄んでいるように見える空も実は眼に見えない靄が掛かっているもので、レンズを通す光は全て平等に...(シャッターを閉じるまで画面全体が均一に明るく露光されるんだから当然のことだけども)街明かりが近い場所で長時間露光を行うと空の明るさまでも拾ってしまい、まるで昼間に撮影した空のように、星以外もすべて明るく露出オーバー...なかなか夜空と星と景色のコントラストが美しい星景写真を撮ることは出来ないのだ。
それではどうやったら美しい星景写真を撮ることが出来るのか?
これまでは、コンポジットと呼ばれる手法が使われることが多かった。簡単に言えば、三脚でカメラを固定し、数百枚から数千枚を連続し手動で撮影し、その画像をPhotoshopなどの画像処理ソフトを使って「比較明合成」(ひかくめいごうせい)という方法で合成(生成)する。具体的には画面全体の基本的な明るさは変えずに、暗い背景のなかに新たに現れた明るいもののみを数百、数千と重ね合わせて一枚の画像を作って行く地道な作業(要するにコマ撮りで粘土の人形を動かすPINGUのようなクレーアニメーションと同じ手法だな)をMacを使って行なうんだけども、前述の通り、これって何だか写真を撮ったと言うよりも“作った”感が否めなくて...。
やっぱり写真はシャッターを切って、ポジフィルムなり液晶モニタに画像が浮かび上がる瞬間がゾクゾクワクワクするわけで、作るより撮るものでありたい(古い考えかもしれないけれど...)。
では、Macを使わずに星景写真を撮る方法はないのか?と言えば、実はひとつだけある。それは...
OLYMPUS OM-D E-M1かE-M10を買うこと(笑)
実は、この2台のOLYMPUSには「ライブコンポジット機能」と呼ばれる自動的に「比較明合成」を行なう機能が搭載されていて(E-M10はver.1から、E-M1は先日アップデートされたのファームウェアVer.2から使えるようになった)、街明かりで明い空も必要以上の明るさを拾うことなく、街の夜景と星の軌跡を同時に記録することが出来る。
使用方法は実機を手にしてない僕でも分る簡単さみたいで、露出モードM(マニュアル)でISO感度、絞り値を設定し、画像1枚の露光時間を設定(5秒ぐらいが良いらしい)。この設定で一度シャッターを切ると、カメラが自動的に連続して一分間に12枚x20分間=240回シャッター(電子シャッター)を切ってくれる。
撮影が終わると、撮影された240枚の画像をカメラが自動的に合成...空や地面の背景は暗いままで、5秒間の露光で変化した部分、つまり星の明かりだけを背景に重ね合わせて一枚の画像を生成することで、背景の明るさはそのままで星の光点は繋がった線になる...こんな仕組みだ。
...ま、そんなわけで、僕のE-M5に、この「ライブコンポジット機能」が搭載される見込みはないので、E-M1かE-M10のボディを買うしかないわけで...
フラグシップのE-M1は買うタイミングを逸してしまったので、次世代モデルを買うことにして、今回はコンデジより安く手に入る中古のE-M10をヤフオクでポチっ!(お察しの通りの展開...苦笑)
■photo:ネコ展で展示されていた岩合スペシャルのE-3
ただ、今さらレンズ交換の方法すら分らないような超ビギナー向けのミラーレス一眼・E-M10をただ買うのもシャクなので、岩合さんのE-1やE-3を思わせるカラーリング(アースグリーン)のLimited Editionをゲットしてみました。ちょい割高だけど、パンケーキ標準レンズも欲しいと思ってたしね。