2017年 05月 26日
一冊の古いカタログ
|
Snowpeak社の2002年版だ。
ホームページを通じてだったか?野宴会経由だったか?そのあたりの記憶は定かではないけれど、社長さんから来年のカタログにカヌーを楽しむ人々を特集した記事を載せたいので取材と撮影に協力してほしいというオファーが届き、僕はSnowpeakユーザーではないから、と友人夫婦を紹介させてもらった...そんな経緯だったように思う。
当時はまだインターネットが今ほど一般的ではなく、Yahoo!で「カヌー」と検索すると僕のサイトが真っ先に表示されるような時代(確かカヌー関連でサングラスが付いたcoolマークは僕のを含めて2〜3サイトだったように思う)で、新聞社や雑誌の取材を受けることが頻繁にあった。
でも。
僕らがこのカタログを初めて開いたのは大学病院の病室だった。ともちゃんが大きな手術を終えたばかり、そしてその結果、さらに手術と終わりの見えない治療が必要であると告げられたその日。仮に治癒したとしても川に浸かることはもちろん、素手で土に触れることすら出来なくなるかもしれないと言われたその日。
そんな日に、ほんの数ヶ月前に安曇野・万水川で撮影された自分たちの写真を目にすることになった僕ら。正直なところ、あの日の僕らにとってこのカタログは目を背けたくなる存在でしかなかった。この先どうなってしまうのだろうという不安と世間から置いていかれたような焦燥感に押しつぶされそうな中、もしかしたら二度とこうして一緒にカヌーを漕げないかもしれないって思ったら、涙が溢れて止まらなかったことをはっきりと覚えている。
でもここに写ってる通り、まだ小さな子どもたちのためにも、再び元気になってこんな風にまた家族で過ごせるようにしなければ!そう思い直して、この写真の自分たちを目標に、心が折れることなく頑張ることが出来た...このカタログにはそんな思い出が詰まっている。
今、僕らの敬愛するカヌー仲間のご夫婦があの頃の僕らと同じように力を合わせて病と闘っていらっしゃることを知った。
すぐに回復されることは難しいかもしれないけれど、焦らずゆっくり少しづつ...そしていつの日か共に川に漕ぎ出すことが出来るように、心から願っている。
おふたりならば、きっと大丈夫。
僕らは待っています。
by papapaddleraki
| 2017-05-26 19:21
| -雑感