2009年 12月 16日
鳥見ピクニック@自然体験の森
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新しい道具が手に入ると、それを実際に使ってみたくなるもの。電化製品ならその場で試すことが出来るし、クルマだったらその辺をドライブすればいいけれど、一眼レフカメラは庭のメジロを撮ってるだけじゃ物足りない(笑)。特に今回、E-520からE-3に換えた理由が、小口径の暗〜い超望遠での高感度撮影時におけるノイズの少なさという少々特殊な部分だけに、なおさら撮影トリップに出たくなるのである。
しかも今日はどんよりとした曇り空で、新しい機材のテストには抜群のコンディション!テストなんだからどこでも良いとはいえ、せっかくなので僕もともちゃんも楽しめる場所を...以前から彼女が行きたい!と言ってた「おかざき自然体験の森」でここ数日、ベニマシコやルリビタキが目撃されているという情報をゲットした僕らは、“冬の赤い鳥”を求めて湾岸道で豊田東ICを目指すのだ。
我が家からカリーちゃんを飛ばすこと50分で豊田東ICへ。ICからは6~7kmで「自然体験の森」に到着である。『来てるわねぇ~!』『うんうん、これは期待できるぞ!』人の手があまり入っていない自然堤防の川、雑木林、田んぼ...周囲の自然環境はいかにも野鳥が好みそうな雰囲気で、僕らは駐車場にカリーちゃんを停めてワクワクしながら自然体験の森へと歩き出す。駐車場のすぐそばで60代のバードウォッチャーさんが白レンズを構えていたので挨拶を交わして少し話す。
オジサンの狙いはやはりベニマシコ。
『一週間ほど前まではここに出てくれたんだけどねぇ。昨日も一昨日も...ここ数日は姿が見えなくて...。』
ハハハハ...オジサン、毎日通ってるし(苦笑)。
いつも感じる、というか感動するのはバードウォッチャーの皆さんの親切さで、このおじさんも自然体験の森の概要(どういう地形でどこにどんな鳥がいるか?とか)のみならず、三河地方の主だった探鳥場所の情報を惜しみなく教えてくださる。どの世界にも良い人と悪い人が居るものだけど、これまでに僕が出会ったバードウォッチャーの方々は、その孤独でマニアな印象と裏腹に親切で話し好きな人が多い印象...確かに鳥が見えてる時間よりも待ってる時間の方が長いからついついお喋りに花が咲いちゃうんだけどもね(苦笑)
初心者、しかも自然体験の森は初めてという僕らに『ココはカワセミの♀の池で、あっちは♂がいるよ。』と案内してくれるオジサンと連れ立って管理棟へ。古い庄屋さんの民家(築200年)を移築した管理棟で入場手続きを済ませ、管理人さんの勧めで四阿(東屋)に向けて散策。良く整備された、でも人の手が入り過ぎない素晴らしい里山はただ歩いているだけで心が洗われるような思いだ。
歩き始めてすぐ、さっきからさえずりが聞こえていたホオジロが姿を見せる。地味だけど円らな瞳がカワイイ!次はオレンジ色の胸が印象的なジョウビタキ、そしてついにともちゃん念願のルリビタキ!
『あっ、青いのがいる!』褐色の♀2羽とともに、一瞬だけど瑠璃色の♂も姿を見せ、ともちゃん大興奮。
右手に東屋が見えた所で上空をハトぐらいの大きさの鳥が30~40羽の群れで飛ぶのが見える。白い腹と黒い背中、印象的な黄色く太いくちばし...イカルである。
イカルたちは高い椎の木のてっぺんに留まるのでずっと見上げていると首が痛くなるけれど、意外に近い場所なので椎の実をくちばしで器用に転がしながら食べている姿をじっくり観察することが出来る。イカルに気を取られていると、耳元でメジロのさえずり...わっ、2mだし!つがいのメジロが忙しく枝から枝へと飛び移り木の実を啄ばんでいる。
東屋で少し休憩した後は、落ち葉のじゅうたんをサクサク鳴らしながら散策路を下る。落葉樹が多い植生だけに森の中はとても明るく、空気までもがベージュに染まっていてとても素敵な雰囲気だ。
管理棟まで森の散歩を楽しんだ後は、建物の前の池の周りをぶらぶら歩いてカワセミを探す。
『ほらほら、探さなくてもそこ!そこにいるじゃない!』
わっ、デカっ!大きいのではなくて信じられないほどの至近距離、たぶん3mと離れていない枝にカワセミが留まっている。肉眼でくちばしの色...下半分も黒いから♂...が判別出来るほどの距離に動揺した僕はE-3の電源を入れるのも忘れてファインダーを覗いてしまい、慌ててONにしてAFが合焦した瞬間、チュッ!と糞を飛ばしたカワセミ♂は飛び去っていく。残念!
でも、すぐそばの池の水草の茎に留まって獲物を探すカワセミ。茎の下には何ヶ所も白い糞が見えるので、ここは彼のお気に入りの場所のよう。彼が飛び去った後、静かに近づいて三脚をセットして待つこと数分...再び舞い戻った彼を落ち着いて写真に収めることが出来た。
カワセミ♂の池の下には棚田のようなビオトープがあり、そこはカワセミ♀の居場所。あぜ道にカメラを立てて待っていると、2~3分でカワセミ♀が登場。最初は落ち着きなく僕をじっと観察していた♀だけど、僕が“いつもの見てるだけの変な人間たち”のひとりだと認識すると、何となく忙しそうな動きを止め、まるで僕を無視するかのように水面を凝視している。僕が一歩前に出ると彼女が僕を見るし、その距離を保てば警戒を解く感じなので、どうやら彼女にとってその距離(7~8m)が心理的なテリトリーみたいだ。
そんな彼女が突然落ち着きを失うのは、上空にミサゴやチュウヒが現れた時、そして20mぐらいの距離にネコが現れた時...どうやら僕はネコよりも安全な生き物だと認めてくれているようで、ちょっと嬉しい(苦笑)
望遠レンズ越しに一通りの撮影を楽しんだ後は、肉眼でじっくりと観察する。普段ではあり得ないような至近距離で見るカワセミは、やはりこの世のものとは思えない美しさ。正直、どこに行っても見られる野鳥...カラス、スズメ、セグロセキレイの次ぐらいに当たり前にいる鳥だけど、目にも鮮やかな羽毛とマンガみたいにアンバランスな体型は何度見てもやっぱり魅力的...カワセミとの遭遇がバードウォッチングの世界に入るきっかけだったという人が多いのも納得なのだ。
しかも木の実を求めてちょこまかと動き回る“草食系”野鳥とは違い、漁をするために一ヶ所に留まって動かない時間が長い彼らは、僕のように下手っぴなカメラマンには有難い存在だし。
昼過ぎまで里山を満喫した僕らは一旦駐車場に戻り、カリーちゃんでランチ。テーブルをセットし、ギャレーでお湯を沸かしてスープを作り、FFヒーターを入れた車内でのんびりと食事。もちろん目は窓の外...ベニマシコが現れないかを眺めながら実に快適なランチタイムである。
ランチの後は再びビオトープに行ってカワセミ♀の撮影を楽しむ。(寒さに疲れたともちゃんはカリーちゃんでお昼寝...笑)ただ午後2時半を過ぎた頃から谷間のビオトープは山の影に入ってすっかり暗くなったので、駐車場に戻り、茂みにカメラを向けてベニマシコの登場を待つ。
青い空を旋回する白いミサゴ、少し小さめのはオオタカだろうか?様々な猛禽類を眺めながら待つこと30分。
『あっ、赤い鳥!』
ともちゃんの叫びに振り返った時には姿はなく、茂みの中でiPhoneのBIRDSONGSで聞いた特徴的なさえずりが聞こえるのみ。う~む、残念!でもともちゃんはその姿を一瞬だけど見ることが出来たようだし、世阿弥さんじゃないけど「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」...簡単に見られないからこそバードウォッチングは奥深いわけで(野生の目を持ってない言い訳?)、またココに来るための動機が出来たのかな?なんて苦笑しながら、ベニマシコに会えないままで自然体験の森を後にしたのだった。
photo by aki with...
OLYMPUS E-3+SIGMA APO 50-500mm F4-6.3+1.4x Teleconverter EC-14(=1416mm)
RICOH GR-D(28mm F2.4-F11)&RICOH 600G+×0.8wc(22-140mm F3.5-F5.5)
by papapaddleraki
| 2009-12-16 18:05
| -バードウォッチング