2008年 11月 27日
丸太は冬まで雨ざらし
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比較的温暖な気候の三重県で薪ストーブを使っている家庭は少数派である。しかしながら少し郊外に出ると、今も風呂に薪を使っている家庭は数多くあって、中には今も“お煙道(くど)さん”と呼ばれるかまどが現役で使われているお宅もある。
そんな、ここ三重県の田舎町で薪作りは男衆の大切な仕事。ただし長時間燃え続ける必要がある薪ストーブの重く堅い薪とは違い、風呂焚きに使う薪は短時間で燃えてサッと火が落ち必要があるので主にスギやヒノキの小割りが使われる。僕らのように手にマメを作って筋肉痛で寝込むような薪割りではなく、腰の曲がったおじいちゃんでも薄くて軽い和斧でストンストンと割ることが出来る。
ただ、薪の種類や用途が違っても薪割りは薪割り。薪割り人歴11年のヒヨッコな僕は薪割りをしている老人を見かけると、仕事の邪魔をしないように気を配りながらアレコレと話しかけて、この道ン十年のウンチクに耳を傾けるようにしている(日々是勉強!である)。
去年だったか、故郷の近くに仕事に出掛けた時、庭先で薪を割っている70代のお父さんを見かけ、生垣越しに見てたら目が合って...庭に招かれて縁側でお茶を戴きながら色々と話を伺った。
農業倉庫の壁一面に積み上げられた薪...まるで倉庫の外壁が薪で出来ているかのようで、それはそれは見事なものだった。庭先には30cm程度に玉切りされた丸太が積み上げられていて、数ヶ月あるいは一年程度雨ざらしになっている色と雰囲気だった。
『おいさん、あの丸太って雨にさらしといてエエのん?』
『ん?あれか?土用まではあのままや。兄ちゃんは“薪は土用まで雨ざらし”っちゅう言葉を知らんのか?』
へ?知りません知りません。
お父さんの説明によれば、昔から(彼のおじいちゃんの時代から)言われている格言で、玉切りしてすぐに屋根の下に仕舞い込むよりも、玉のままで少し雨ざらしにした方が乾燥の進みがいい(芯まで乾く)という生活の知恵なのだそうだ。
木材の乾燥というのは木が水を吸い上げる導管を通じて行われるんだけど、木は伐られると内部に貯めた水分を保とうとして細胞の孔を閉じるらしい(要するにカサブタと同じ)。そこで時々雨...つまり水分を与えることで細胞の孔を開かせて水分の移動を助けてやるのだそうで、中まで均一に乾燥させられるのだそうだ...う〜む、深い!
(貯木場で水の中に丸太を浮かべているけれど、実はあれも木の内部に含まれる樹脂をしみ出させて導管の詰まりを防ぎ、水から上げた時の乾燥を促進するためだと聞いたことがあるけど、あれも同じことか!)
その薪を去年買った斧のテストも兼ねて少しだけ割ってみる。
パッカ〜ン!おおっいい音!
いつものMagic AXEに加えて、今年の4月に届いたHeavyMaul GF、5月に買ったThe Chopper 1 AXEを試してみる。Heavy Maul GFは軽めのMagic AXEという打撃感、ハイテクThe Chopper 1 AXEは太いものには全く歯が立たないけれど、直径20cm程度の細いものに使うと非常に小さな力で割ることが出来る。しかもチャカチャカ鳴って面白いし...新しい情報を試しつつ、道具に凝りつつ、薪割り生活はこれからも続く。
by papapaddleraki
| 2008-11-27 21:40
| -薪ストーブ